開幕 (2004.4.20)
早いもので、大治郎が旅立ってから今日で1年が経った。
昨年の事故で安全基準に満たないと判断された結果、Moto GP開幕の舞台は鈴鹿ではなく、例年から二週間ほど遅れて、遠くアフリカの地でスタートした。
今年も#15を駆るスパニッシュライダーは、その左胸に#74のゼッケンを小さく縫いつけていた。

開幕戦が鈴鹿でなかったことは、僕らにとっては幸運だったのかもしれない。
130Rを立ち上がる青いマシンを見てしまったら、僕らは目を背けるか、あるいはその車体に#74のゼッケンを探すだろう。
恐らく、テレフォニカモビスターのマシンを鈴鹿で正視できるほど、僕らにとってあの春は遠い昔の出来事ではないのだ。

ジワジワと自分を追いつめていた好敵手を失った王者は、自らを不利な立場に追いやることで、恐るべきポテンシャルを発揮した。
シーズンのスタートをポール・トゥ・フィニッシュで飾った彼は、チェッカーを受けた後にコース脇でうずくまり、膝を抱えて肩を震わせた。
あれは、ともすれば失墜しそうなモチベーションと戦い続けた、昨シーズンへの決別 だろうか。

混沌とした今シーズンの世界最高峰の舞台に、否が応でも期待は高まる。
それでもやっぱり、青いマシンを駆る小柄な東洋人が其処にいないという現実が、僕の週末にほんの一握りの寂しさを残す。


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