統一地方選を終えて

日々

統一地方選が終わった。

少なくとも僕の周囲で統一地方選が話題に登ることはなかった。
知人から尋ねられれば、自分の考えを話した上で今回の選挙で応援している候補者の名前を伝えたが、盛り上がりに欠けるどころか、そもそも選挙があるということが記憶の片隅にすらないのではないかと思ってしまうほど、それほどまでに選挙の気配すらしなかったというのが正直な感想だ。

もちろん長年市民運動に携わっていれば、一緒に活動してきた実績のある友人が立候補することもある。僕自身も昨年、仲間と小さな地方政党を立ち上げたこともあって、今回の選挙は注目していた。僕のSNSのタイムラインは選挙の話題で持ちきりだった。

けれど SNSは僕が興味のあるアカウントをフォローしているのだから当然だ。SNSは本当に狭い世界なのだ。
Twitterのプロフィールページを見れば、僕は2009年の4月にアカウントを開設している。14年もこんなことを続けていても、僕がフォローしているのは600アカウントに満たないし、僕をフォローしているアカウントも500少々だ。世界に対する影響力は蝶の羽ばたきよりも小さく、受ける影響もアリの足跡程度だ。

僕は今回の統一地方選に何を求めていたのだろう。

僕が考える理想社会。
人間に害を及ぼす有害物質が無い世界。
誰にも強制、収奪されない世界。
困っている人、弱っている人にみんなが率先して手を差し伸べて、一緒に幸せになる世界。
出自も人種も性別も年齢も信じる神も関係なく、お互いに敬意を持って微笑む世界。
問題に対して声を上げた人を冷笑、嘲笑、侮蔑せず、解決への道をみんなで模索し実践する世界。
欠点を補い合える世界。
誰もが「生まれてきて良かった」と微笑んで旅立つことのできる世界。

その全てが僕の我欲であることは重々承知だ。
僕の考える理想社会と、隣の吊り革に掴まる誰かのそれが全く異なるということは知っている。
今までだって散々「平和ボケ」だの「偽善者」だのとありがたい言葉をぶつけられてきた。今更、何を言われたところで傷つくようなメンタルじゃあない。
僕は平和ボケの偽善者だ。

と、そんな平和ボケの僕が気になったニュース。

装備輸出の与党協議開始 殺傷兵器の解禁焦点 https://www.sankei.com/article/20230425-SQM6KAPCQRL6NKCYTLTE24A5EA/ @Sankei_newsより

かつては「武器輸出三原則」という輸出はおろか共同開発すら原則認めないというものだったが、第二次安倍内閣でこれが「防衛装備移転三原則」と名称と内容が変更された。さて、日本も他国の戦争でひと儲けか?

武器、兵器の開発コストが上昇する中、自国での独力開発が困難な時代になったこともあるだろう。特に日本の場合はGDPの1%以内という限られた予算であることや、マーケットが国内に限られることから量産してコストを下げるということが難しい事情も理解できる。そう、理解はできるのだ。

では、こうして製造、開発、輸出された兵器は、いつ誰が誰に向かって使うのか。メイドインジャパンの武器が殺すのは、どこの誰なのか。開発コストを下げて、量産化のメリットを活かして、安価になった弾丸が貫くのは、最前線の兵士の身体だ。航空機からばら撒かれる爆弾で手足が吹き飛ぶのは、逃げ惑う一般市民だ。それは日本に暮らす僕らの手が地で染まることと同義だと、僕はそう考えるのだ。

僕は政治で世界が平和になってほしいと願っている。根気強く話あって、とことん議論を尽くして、気の遠くなるようなやりとりを繰り返したとしても、武器を手に取らずに実現する平和が尊いと思っている。
政治は妥協の産物だ。誰もが100%納得できるような着地点なんてない。それでも一番弱い人、声の小さい人、声を上げられない人が「生まれて良かった」と思えるような世界にするために、力づくで何もかもを収奪するような振る舞いに政治が待ったをかけて欲しいのだ。
「そちらの貴方もこちらの貴方もご不満はあろうかと存じますが、それでも小さくて弱い命が微笑んで生きていくために少々我慢するというのも強者の振る舞いとしては天晴れだと思いませんか」と宥めてほしいのだ。

さて、選挙だ。

今回の統一地方選では維新の会が躍進した。
僕の個人的な印象に過ぎないが、維新の会は自民党を凌駕する極右政党だと思う。公のものを民間に移転する手腕は大したものだ。
公。つまり国民、市民の資産を企業の私物にする。強いものがより多くを手中に収める。小さいもの、弱いものが届かないところに持っていってしまう。新自由主義は大資本に対する国家の介入を否定する。強いものはますます強く。そして弱いものに再起のチャンスは無い。

毎度毎度、選挙の度にため息を吐いてガックリと項垂れる。
だけどこのままじゃいけないと思っている人だっている。そういう人たちがいることを知っている。

【No WAR!】世界中のライフル銃をギターに持ち替えたなら – うぴ子

さ。4月も残り少ない。
海岸のゴミを拾いながら世界が平和になるように祈るよ。